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← 読み物積立中の暴落は最大でどこまで減るか:150年間の最悪は元本比−59.9%
積立はリスクを下げると言われますが、効果が出るのは深い暴落のときに限られます。S&P500の150年分のデータから、積立中の含み損がどこまで広がりうるかを整理しました。
公開 つみとり運営事務局
「積立ならリスクが下がる」という説明は広く知られています。しかし、実際に積立中の資産がどこまで減る可能性があるのか、具体的な数字が示されることは多くありません。ここではS&P500の過去150年分のデータをもとに、積立中の最大含み損率を整理します。
積立中の最大含み損率の目安
ここでの「最大含み損率」は、その時点までに投入した元本に対して評価額が最も下回った割合です。金額ではなく割合なので、毎月の積立額にかかわらず同じ表で読めます。
| 局面 | 最大含み損率 |
|---|---|
| 中央値 | −17.8% |
| 悪いほうから4分の1 | −29.3% |
| 悪いほうから10分の1 | −37.4% |
| 過去150年の最悪 | −59.9% |
最悪のケースは1928年4月に積立を開始した場合で、直後に世界恐慌が起きています。積立であっても、投入元本の6割近くが失われた状態になった時期がありました。
通常の下落では、積立のほうが含み損率は大きい
中央値で比べると、積立の最大含み損率は−17.8%、一括投資は−10.3%です。一般的なイメージとは逆に、積立のほうが深くなっています。
理由は投入元本の少なさにあります。積立の初期は元本が小さいため、少額の値下がりでも割合としては大きく表れます。一括投資は最初に全額を入れているため、その後の上昇分が下落時の緩衝材になりやすくなります。
−30%を境に、一括投資との関係が逆転する
「その水準より深く下がったケースが何%あったか」を比べると、関係が変わる境目が見えてきます。
S&P500・配当込み・実質値。積立は毎月3万円×20年、一括は720万円を初月に投入。開始時期をずらした1,507パターン。
| 下落の深さ | 積立 | 一括 |
|---|---|---|
| −10%より深い | 70.7% | 50.6% |
| −20%より深い | 45.5% | 32.2% |
| −30%より深い | 22.9% | 22.6% |
| −40%より深い | 6.2% | 10.2% |
−20%までは積立のほうが該当する割合が高く、−30%でほぼ同じになり、−40%より深い水準では一括のほうが高くなります。積立の分散効果が表れるのは、まれに起きる大きな暴落の局面に限られます。
最悪の局面では、積立は一括より17ポイント浅く、回復も早い
過去150年で最も深かったケースは、積立が−59.9%(1928年4月開始)、一括が−76.8%(1929年9月開始)でした。いずれも世界恐慌の直前です。
その後の回復も比べると、次のようになります。
| 項目 | 積立 | 一括 |
|---|---|---|
| 最も深い含み損率 | −59.9% | −76.8% |
| 底から元本回復まで(悪いほうから10番目) | 1.6年 | 2.4年 |
さらに、1,507パターンのすべてで、30年以内に含み損は解消しています。30年後の評価額は、世界恐慌直前に開始したケースを含め、すべて投入元本の720万円を上回りました。
下落の上限を知っておく意味
−60%という数字は大きく見えますが、あらかじめ知っておくことで、暴落時に慌てて判断する必要がなくなります。「6割までは起こりうる」と分かっていれば、−30%や−40%の局面でも、積立設定を変えずにいられる根拠になります。
よくある疑問
Q. 暴落のニュースが出たら、積立を止めるべきですか?
過去150年のデータでは、最悪の局面でも30年以内に元本を回復しています。止めた場合は、安い価格で買える期間を逃すことになります。家計の事情で続けにくい場合は、止めるより金額を減らすほうが影響は小さくなります(積立が苦しいときの減らし方)。
Q. 積立なら一括より安全なのでは?
通常の下落では、むしろ積立のほうが含み損率は大きくなります。積立の利点は、深い暴落での落ち込みを抑え、回復を早める点にあります。
前提とデータ
- Robert Shiller のS&P500データ(配当込み・1871年〜)。金額はすべて物価上昇分を差し引いた実質値。
- 積立は毎月3万円×20年(計720万円)、一括は720万円を初月に投入。いずれも開始から30年間の値動きで判定。
- 開始時期を1か月ずつずらした1,507パターンで計算。
- 検証したのは含み損の深さと回復までの期間のみです。
- 過去の実績であり、将来の結果を約束するものではありません。