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← 読み物なぜS&P500なのか:伸びている業種を追わなくていい5つの理由
新NISAで買うものは、S&P500かオルカンのどちらか1つで十分です。そのうえでS&P500を選ぶ理由を、100年分の業種データと暴落からの回復年数をもとに整理しました。
公開 つみとり運営事務局
新NISAで何を買うかは、多くの人が最初につまずくところです。S&P500、オルカン、NASDAQ100、FANG+、半導体。候補が多く、SNSでは常に「いま一番伸びている商品」が話題になります。
この記事では、S&P500を選ぶ理由を5つに分けて説明します。軸になるのは「どれが一番増えるか」ではなく、「迷わずに持ち続けられるか」です。
理由1:伸びている指数を選ぶのは、業種に賭けること
2015年〜2026年の成績で比べると、半導体の指数は24.91倍、FANG+は18.31倍。S&P500は4.55倍にとどまります。この期間だけを見れば、乗り換えたくなる差です。
配当込み・ドル建て。FANG+と全世界は2000年代のデータがないため、下の期間には出てきません。
ところが、同じ指数を2000年〜2009年で比べると順位は完全に逆転します。半導体は0.30倍(7割減)、NASDAQ100は0.52倍。この10年で最も損失が小さかったのはS&P500の0.95倍でした。
半導体やFANG+を選ぶことは、「今強い業種が、この先も強い」という見通しに資金を置くことを意味します。その見通しが過去にどの程度当たってきたかは、次のデータが示しています。
理由2:業種の1位は、10年続かない
米国株を49業種に分け、1930年代から10年ごとに最も値上がりした業種を並べたのが次の表です。
| 年代 | 最も値上がりした業種 | 10年間の倍率 |
|---|---|---|
| 1930年代 | 銀行 | 4.5倍 |
| 1940年代 | 医療機器 | 8.1倍 |
| 1950年代 | コンピュータ | 12.8倍 |
| 1960年代 | 医療機器 | 7.5倍 |
| 1970年代 | 防衛 | 4.9倍 |
| 1980年代 | タバコ | 13.9倍 |
| 1990年代 | ソフトウェア | 23.5倍 |
| 2000年代 | 石炭 | 9.9倍 |
| 2010年代 | 娯楽 | 7.2倍 |
| 2020年代 | 半導体 | 6.9倍 |
同じ業種が2期連続で1位になった例は、一度もありません。
現在1位の半導体も、順位は大きく上下しています。
米国49業種・10年ごとの値上がり(配当込み)。2020年代は2026年7月まで。Ken French Data Library から集計。
1990年代に2位だった半導体は、2000年代には49業種中49位まで落ちました。現在の1位は、そこから回復した結果です。
理由3:値動きの大きい商品ほど、下落時に手放しやすい
賭けの要素が強い商品ほど、下落局面で「このまま持っていていいのか」という迷いが生じます。そして下落が深いほど、元の水準に戻るまでの時間も長くなります。
まとめて買った場合・配当込み。はじめて元の金額に戻った月までを数えています。
2000年のITバブルの天井で購入した場合、元本に戻るまでS&P500は6.3年、NASDAQ100は14.6年、半導体は17.1年かかっています。17年間含み損を抱えたまま持ち続けるのは、現実にはかなり難しいことです。
一方、同じ2000年の天井から毎月3万円を積み立てた場合、2026年時点でS&P500は約6倍、半導体は約27倍になっています。下落中に安い価格で買い続けられたためです。ただし積立の途中で、半導体は投入元本に対して−54%、S&P500は−31%まで落ち込んでいます。27倍という結果は、元本が半分以下になった状態でも積立を続けた場合に限られます。
最終的な差を生んだのは銘柄選びより、積立を続けられたかどうかです。
理由4:新NISAでは、売ると非課税期間が戻らない
新NISAで売却すると、使った非課税枠は翌年に復活します。しかし、それまで非課税で運用していた期間は取り戻せません。
たとえば20年運用するつもりの資金を7年目で売却すると、枠は戻っても7年分の複利は失われます。下落局面で売らずにいられるかどうかが、新NISAでは直接結果に響きます。
理由5:市場全体なら、どの業種が勝つかを当てる必要がない
S&P500は時価総額に応じて構成比率が決まる指数です。ある業種が成長すれば、その業種の比率は自動的に高まります。銀行の時代にも、ソフトウェアの時代にも、半導体の時代にも、保有者が乗り換える必要はありませんでした。
選び直す必要がないため、判断の機会そのものが減ります。判断の回数が減れば、感情で売買する余地も小さくなります。
もう1つの根拠が人口です。米国勢調査局の推計では、アメリカの人口は2080年ごろまで増え続けます。人口推計は、今後生まれる人数や働く世代の人数がかなり先まで見通せるため、経済予測と比べて大きく外れにくい統計です。日本の人口はすでに減少に転じており、先進国で今後50年以上人口が増え続ける国は多くありません。
20〜30年の積立期間中、人口が増え続ける国の企業群を保有し続けることになります。
オルカンとの選び方
アメリカ1国への集中に不安がある場合は、オルカンで問題ありません。
S&P500とオルカンの違いは、突き詰めると資産のうちアメリカに置く割合です。S&P500はアメリカ100%、オルカンはおよそ6割(2026年時点)で、残りは日本・欧州・新興国などに分散されます。業種に賭けない、当てにいかないという点では、どちらも同じです。
| こんな人に | 選ぶもの |
|---|---|
| アメリカの成長にまかせたい | S&P500 |
| 1つの国への集中が不安 | オルカン |
両方を半分ずつ持つ方法はおすすめしません。オルカンの中身の約6割はすでにアメリカ株のため、半分ずつ持つとアメリカ比率は約8割になります。その比率も値動きで少しずつずれるため、自分で調整し続ける必要が出てきます。管理する項目が増えるほど、迷う場面も増えます。
よくある疑問
Q. 今から半導体に乗り換えたほうが増えるのでは?
過去10年の成績が良かったことは、次の10年も良い理由にはなりません。上の表のとおり、1位の業種が連続した例はなく、半導体自身も2000年代には最下位でした。
Q. S&P500も大きく下がることはありますか?
あります。2000年からの26年間でも、高値から約51%下がった局面がありました。積立中に投入元本がどこまで減る可能性があるかは、積立中の暴落は最大でどこまで減るかにまとめています。
Q. 決めたあと、ほかに気をつけることは?
下落時に売らないこと、苦しいときも積立をゼロにせず金額を下げて続けることです。
前提とデータ
- 指数の比較:S&P500(SPY)、NASDAQ100(QQQ)、半導体(SMH)、FANG+(NYSE FANG+)、全世界(VT)の月次データ(配当込み・ドル建て)。2026年7月まで。
- 業種の比較:Ken French Data Library「49 Industry Portfolios」(配当込み・時価総額加重)を10年ごとに集計。2020年代は2026年7月まで。
- 回復年数は、初めて元の水準に戻った月までの期間。S&P500は2008年に再び下回ったため、以後一度も下回らなくなるまでで数えると11.2年(半導体は18.4年)。
- 人口:米国勢調査局(U.S. Census Bureau)2023年人口推計。
- オルカンに占めるアメリカの割合は時期によって変わります。
- 過去の実績であり、将来の結果を約束するものではありません。