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← 読み物NASDAQ100よりS&P500が勧められる理由:差がつくのはリターンより「売らずにいられるか」
上昇率だけならNASDAQ100のほうが上です。それでもS&P500が勧められるのは、運用のプロでも指数に勝てず、個人は売買のタイミングでリターンを取りこぼしているためです。
公開 つみとり運営事務局
長期の上昇率では、NASDAQ100や半導体の指数がS&P500を上回っています。それでもS&P500が積立先として勧められることが多いのはなぜか。背景には、投資の成績を左右しているのが商品よりも投資家の行動だというデータがあります。
プロの運用でも、長期では約9割が指数に負ける
S&P Dow Jones Indicesは毎年、運用担当者が銘柄を選ぶ投資信託と指数の成績を比べた調査(SPIVA)を公表しています。
| 比較期間 | 指数を下回った投資信託の割合 |
|---|---|
| 1年 | 約8割 |
| 20年 | 約9割(92%) |
期間が長くなるほど、指数を下回る割合は高くなります。情報量や分析体制で個人を大きく上回るプロでもこの結果です。個人が銘柄選びで指数を上回るのは、さらに難しいと考えられます。
個人投資家は、自分の売買で年1%を失っている
指数に連動する商品を選んでも、それだけで指数と同じ成績になるとは限りません。米国の調査会社DALBARの集計では、20年平均で指数の年9.7%に対し、個人投資家の平均は年8.7%でした。
この差は商品ではなく、購入と売却のタイミングから生じています。相場が上がって話題になってから買い、下がって不安になってから売る。この行動が繰り返されると、指数と同じ商品を持っていても成績は下回ります。
感情に左右されやすい2つの理由
行動経済学では、こうした売買の背景として次のような傾向が知られています。
- 目立つ成功例ばかりが目に入る:SNSでは大きく利益を出した例が拡散されやすく、損をした多数の例は表に出にくくなります。
- 損失は利益より重く感じる:同じ金額でも、損失の痛みは利益の喜びの2倍以上に感じられるとされます。下落時に売りたくなり、上昇時には早く利益を確定したくなる原因です。
これは個人の性格の問題ではなく、多くの人に共通する傾向です。意志の力だけで毎回逆らうのは現実的ではありません。
判断の回数を減らす仕組みとしてのS&P500
S&P500に毎月一定額を積み立てる方法は、売買の判断そのものを減らします。銘柄選びも売却のタイミングも考える必要がなく、構成銘柄の入れ替えは指数側が自動で行います。成長した企業の比率は自然に高まり、縮小した企業は外れていきます。
判断の回数が少ないほど、感情が売買に入り込む余地も小さくなります。
NASDAQ100ではなくS&P500を選ぶ理由
配当込み・ドル建て・月末の値。
NASDAQ100の最大下落は−81%で、資産がおよそ5分の1になる水準です。この局面で保有を続けられる人は多くありません。途中で売却すれば、長期の高い上昇率は受け取れなくなります。
S&P500の−51%も浅い下落ではありません。それでも、NASDAQ100や半導体と比べれば保有を続けやすい水準です。積立先を選ぶ基準は、最も上昇率が高いものではなく、最後まで持ち続けられるものです。
期間とコストも、S&P500に有利に働く
長く保有するほど、元本を下回る可能性は下がってきました。S&P500に毎月積み立てた場合、元本を下回ったケースの割合は、10年で11.4%、20年で4.5%、30年で0%です(配当込み・物価上昇分を差し引いた実質値、過去150年)。詳細は積立を何年続ければ元本を下回らなくなるかにまとめています。
コストの差も長期では大きくなります。毎月3万円を30年、年8%で運用すると仮定した場合、信託報酬が年0.1%と年1%の商品では、30年後に約690万円の差がつきます。
よくある疑問
Q. NASDAQ100を長く持てば、S&P500より増えるのでは?
最後まで保有を続けられれば、その可能性はあります。問題は、−81%の下落や14年以上の含み損期間を経ても売らずにいられるかどうかです。個人投資家の平均が指数を年1%下回っていることを考えると、値動きの大きい商品ほどこの差は広がりやすくなります。
Q. 配当が少ないS&P500は不利ではありませんか?
配当を再投資した合計の成績で見れば、指数は人気の高配当株と比べても見劣りしていません。受け取り方の違いであり、増え方の違いではありません。
S&P500を選ぶ根本的な理由は、なぜS&P500なのかで整理しています。
前提とデータ
- 投資信託と指数の比較:S&P Dow Jones Indices「SPIVA U.S. Scorecard」(Year-End 2025)。
- 個人投資家と指数の差:DALBAR「QAIB」の長期平均。算出方法には議論があり、年によって差は変わります。
- 最大下落:各指数の月次データ(配当込み・ドル建て)、2000年〜2026年7月。
- 元本を下回った割合:Robert Shiller のS&P500データ(配当込み・物価上昇分を差し引いた実質・1871年〜2024年)。
- コストの差:毎月3万円・年8%・30年、信託報酬を毎年の残高にかけて計算(当サイトの手数料シミュレーターと同じ計算)。
- 過去の実績であり、将来の結果を約束するものではありません。