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決めたら変えないために

積立は「あとから増やす」より「先に入れる」:同じ720万円で20年後に514万円の差

総額を同じにして、前半に多く入れるか後半に多く入れるかだけを変えると、20年後の資産に大きな差が出ました。給料が上がってから増やす、という計画の落とし穴を数字で示します。

公開  つみとり運営事務局

「今は月3万円が限度だが、子どもの教育費が終われば増やせる」「昇給したら積立額を上げる」。こうした計画はごく自然なものです。ただ、総額が同じでも、入れる時期によって結果には大きな差が出ます。

20年間の成績は、後半10年の相場で決まる

20年間の積立を前半・後半の10年に分け、それぞれの相場と20年後の資産を比べると、前半10年の相場はほとんど結果に影響していません。結果を大きく左右しているのは後半10年です。

理由は、各時期に運用されている金額の違いにあります。毎月3万円を続けた場合、10年目の評価額は約540万円ですが、20年目には投入額720万円の2倍を超えます。後半は大きな残高の上で相場が動くため、同じ10%の値動きでも金額への影響が大きくなります。

積立を始めて間もない時期の下落は、最終的な結果にあまり響きません。

後半が重要でも、後半に多く入れると不利になる

後半の相場が結果を決めるなら、後半に多く入れればよいと考えがちです。しかしデータは逆の結果を示しています。

同じ720万円を20年で入れた人の、20年後

S&P500・配当込み・実質値。1,627パターンの中央値。「10年で入れ切る」は月6万円×10年。「最初10年は待つ」は後半10年に月6万円。「先に多く」は前半月4.5万円・後半月1.5万円、「あとから多く」はその逆。

入れ方 前半10年 後半10年 20年後(中央値)
前半に多く 月4.5万円 月1.5万円 1,786万円
毎月一定 月3万円 月3万円 1,537万円
後半に多く 月1.5万円 月4.5万円 1,271万円

総額はいずれも720万円です。前半に多く入れた場合と後半に多く入れた場合の差は514万円で、1,627パターンのうち96%で前半に多く入れたほうが上回りました。後半に多く入れたほうが上回ったのは、前半に相場が好調で後半に大きな暴落が起きた、ごく一部の時期に限られます。

後半の相場が効くのは、そこに大きな残高があるからです。前半に入れた資金は長く運用される分、後半の残高を大きくします。後半に入れた資金は運用期間が短く、後半の上昇を十分に受け取れません。

「余裕ができてから」の待ち時間にもコストがある

より極端な2つを比べると、差はさらに広がります。

入れ方 20年後(中央値)
最初の10年で720万円を入れ切る(月6万円) 2,021万円
最初の10年は入れず、後半10年で入れる(月6万円) 1,024万円

差は997万円で、投入元本をもう一度入れた金額に近い水準です。資金の準備が整うまで待つ期間にも、見えないコストがかかっています。

金額を増やしても、倍率は変わらない

積立額そのものを増やした場合も比較しました。

毎月の積立額 投入元本 20年後(中央値)
2万円 480万円 1,025万円
3万円 720万円 1,537万円
5万円 1,200万円 2,562万円
8万円 1,920万円 4,099万円

投入元本に対する倍率は、どの金額でも同じです。金額を増やせば資産は増えますが、増えるのは投入した分に比例した額だけです。一方、入れる時期は、総額を変えずに結果を動かせる要素です。

無理に前倒しする必要はない

教育費や住宅ローンの負担が大きい時期に、積立額を無理に増やす必要はありません。無理な金額設定は、途中で積立をやめる原因になります。

大切なのは、すでに出せるお金を後回しにしないことです。たとえばボーナスを「来年の積立に回そう」と考えているなら、今年のうちに入れておく。それだけでも入れる時期は前に動きます。

よくある疑問

Q. 相場が高いときは、下がるまで待ったほうがいいのでは?

相場がいつ下がるかは事前にわかりません。一方、入れる時期は自分で決められます。待つことで生じる差は、上の表のとおり非常に大きくなりえます。

Q. 期間が30年になると差はどうなりますか?

総額1,080万円・30年で比べると、前半に多く入れた場合(4,062万円)と後半に多く入れた場合(2,541万円)の差は1,521万円に広がります。期間が長いほど、入れる時期の影響は大きくなります。

積立シミュレーターで、最初に入れる額を変えて試す

前提とデータ

  • Robert Shiller のS&P500データ(配当込み・1871年〜)。直近は ^GSPC の月末終値、物価は米国CPI(FRED)で補完。金額はすべて物価上昇分を差し引いた実質値。
  • 開始時期を1か月ずつずらした1,627パターンの中央値。個別のケースでは結果の幅が大きくなります。
  • 過去の実績であり、将来の結果を約束するものではありません。
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